「旧来住家住宅(兵庫県西脇市)」の意匠あれこれ。
兵庫県は西脇市にある国登録有形文化財に指定されている「旧来住(きし)家住宅」。来住梅吉氏により大正7年に建てられた、高級民家です。民家、と言われると当方のような小市民からすればひれ伏すようなお屋敷ですが。。。
大正7年。代々、土地収入で財を成した来住家。銀行を興して発展した来住梅吉氏により建てられたのがこちらの「旧来住家住宅」です。国登録有形文化財に指定され、現在は西脇市に寄付され、一般に公開されています。
「むしこ」の中心が塗られていないのが分かりますでしょうか?これはあえて未完成であることを象徴し、益々の発展を祈念して、の事だそうです。
当時の建築台帳によると、母屋・離れ・庭の総建築費は当時の価格で8万4000円。現在ならなんと54億円に相当すると言われています。かつ、現在ではほとんどが入手困難(もしくは不可能)な建材であるため、例えこの金額を現在に出しても、同じものは建てられないだろうと言われています。
母屋の全体構造は、中央に廊下を挟んだ南北2列の間取り。南列が接客空間、北列が家族空間、東側が台所、風呂などの空間となっています。
土地面積は1226、40㎡。建物床面積は597、10㎡となっております。
庭は抹茶の薮内宗匠による設計。庭石には鞍馬石、貴布禰石、鴨川石、生駒峠石を使用。いずれの石も大変大きく、実に男性的というか、どのように産地からここまで運び、配したのかと妄想が膨らみます。ガイドさん曰く、当時は道中の橋や道などを、これら石を運ぶために補強しながら、運び入れたのだ、とおっしゃっていました。
ちなみにですがこちらの建築物は、ご家人より西脇市に寄付されましたことにより、ご家人のご要望によりなんと、入場料は無料なのです。
維持管理には相当な事であろうと思います。。。
ありがたく、文化遺産を拝しまして。