岡山は言わずと知れた倉敷へ。
駅から商店街を通って開けた先は、古いもの好きにはたまらない、まさに夢の国。
はりぼての街並では無い本物づくしが軒を揃え、空向こうにがっかりするものが何ひとつ視界に入って来ない。
焼物、織物、い草、ジーンズにマスキングテープ。。。先人の築いた産業を基軸とし、現代に続く地元産クラフト達の魅力に溢れ、訪れる人を決して飽きさせない街の在り方には、文化意識の高さに加え、街一丸となった創意工夫をひしひしと感じた。
泊った先は明治22年に建設されたクラボウ発祥の地、紡績工場跡を宿泊施設に転用した「倉敷アイビースクエア」。昭和49年にこのような産業遺産を転用 し、自社の歴史の証を未来へと託したホテル開業とは、その思考の先見には大変驚かされる。がしかし、そのあとに見学した「倉紡記念館」での大変丁寧な企業
の歩みの遺され方や、クラボウ創業家が昭和初期に設立された「大原美術館」の在り方、あるいは1900年代を中心とした第一級の絵画、工芸、彫刻などのコ レクションの重厚ぶりに、いかにして美しいもの、大切なものを社会へと還元し、また多くの人々と共有してゆこうとする高い精神に溢れているのかを思い知る こととなった。
こうした先人らを数多く輩出したからこその「倉敷」。
習うべき、また学ぶべき事、得るものに溢れ、大変ありがたい時間を頂いた。