1300年代に開創された東福寺五塔頭の一つである「天得院」。東福寺保育園が併設された、普段は非公開の小さなお寺です。
紅葉の頃と、桔梗の咲くこの時期のみ特別公開されており、どうやら中で甘味(と、精進料理)が頂けるとの事なので散歩がてらにぶらぶらと。
桃山時代作の枯山水庭園には、杉苔の合間に桔梗がポツポツ。垣根の向こう側は普段、自転車で駆け抜ける通りに面していて、ほんの塀一枚を越えれば、こんなに静かな場所が広がっているのです。
手渡されたリーフレット記載の沿革には、かつてこちらのお寺の住菴であった東福寺第二二七世の文英清韓長老は、豊臣秀吉や秀頼に寵偶された学僧にて、秀頼の請に応じて方広寺大仏殿の再建に伴い鐘銘を撰文した方。その撰文中にあった文字「国家安康君臣豊楽」に対し、家康を引き裂き豊臣家の繁栄を願ったものと徳川家康の逆鱗に触れ、大坂の陣の発端となりました。そして清韓は幕府側に難詰され、挙句に天得院は取り壊されたとの事。ああ!かの有名な、豊臣家滅亡の原因となったお話の舞台がまた、こんな身近な所に。。。
現在のお寺はその後再建されたものですが、街角の小さな石碑等で触れる歴史の片隅より、やっぱり当時の方らに繋がる手がかりとして、共有出来る空気感が本物としてそこに残っているというのは、いいものだなあとお庭を眺めつつ思いました。