京都の祇園祭も前祭、後祭の巡行も終わった。
毎年7月は仕事が被ってバタバタで、言えば自分はほんと、非京都民。鉾を遠目に見るのがやっとの事が多いが、今年のそれは私用も色々重なって、体感したことと言えば、交通規制で車の渋滞にどハマりしたくらいだった。
無病息災。災厄の除去。大きなところで小さな命にまで祈って、それらがちゃんと届いて欲しい。
この月、京都は色々なことがあった。個の話などしてられないくらい気持ちは重く、そしてそれらはそう簡単には終わらない。
さて、夏の京都に欠かせない食材の鱧。海も遠く、交通の便も悪かった昔の京都は、真夏に鮮度の良い魚を運ぶのは至難の業という中、生命力の強い鱧は瀬戸内や明石からでも生きたまま届いたのだそう。梅雨明けの鱧は一段と脂が乗って旬ということもあり、ちょうど祭りの時期にも重なって、祇園祭には鱧を食べる、祇園祭の別名は「鱧祭り」なんてことも言われるようになったそうだ。
骨切りしてある鱧の落としを、椀に敷いたじゅんさいの上に乗せ、そっと出汁をかけて梅肉で頂く。本来なら、捌いた鱧のアラで出汁を取ると一層良いだろう。それは叶わないので昆布と鰹の出汁でやる。
7月も終わりにしてようやく仕上げのゴールも見えかけ、なんとか旬のものまで追えるようになった。
目の前の一つ一つの必然に感謝して、当たり前の事にも特別を感じられる。なんとか毎日を、そうやって生きていきたい。