滋賀県は湖東エリア。琵琶湖の東側、および鈴鹿山脈の西山腹に位置し、西明寺、金剛輪寺、百済寺からなる三つの天台宗寺院の総称を「湖東三山」と呼ぶ。
犬上郡甲良町にある西明寺、愛知郡愛荘長にある金剛輪寺、東近江市にある百済寺と、文字だけで位置を確認すると遠く点在しているように映るかもしれないが、名神の東側を伸びる国道307号線で繋がりそれぞれ数キロ程度しか離れておらず、車移動だと3箇所の紅葉名所を半日ほどで贅沢に堪能出来る。
この三山にこれまた紅葉名所として名高い百済寺の南東に位置する永源寺も合わせれば、お腹いっぱい、いずれのお寺も大寺院かつ山の地形を存分に生かした造りなので、たとえそれぞれを車で移動しても、足は結構鍛えられると言う感じだ。それぞれの庭園もその山肌を巡る形で、どこが一番かなどとても言い切れない見事な様である。
10月に金剛輪寺を初めて訪れてその規模や空気感にすっかり魅せられて、これは紅葉時期に再訪しようと決めたものの、11月は仕事が重なって、例年は見頃が11月半ばということで内心ハラハラだった。あいにくの曇り空の1日だったが、来てみると紅葉は陽のあたるところから始まっている、という感じでいつもより遅れているらしく、おそらく今月いっぱいは堪能出来るだろう。
もう、今年は行けるタイミングも私には無いので、どうぞお時間のある方、今年の紅葉狩りはどこにしようかと決めかねている方は是非訪れてみて欲しい。
それぞれの写真はそれなりに人を避けて写したのと、平日だったのでまだ人も少なかったというのもあるかもしれないが、時間刻みの団体バス移動の観光客の波さえ(ちょっと待って)ずらせば、たとえば京都のあの、紅葉を見てるのか人の山を見に行ったのか分からなくなるような気分にはならず、秋の終わりを心から染み入って物思いにふけることが出来る、そんな素晴らしい紅葉名所であるには違いない。
松峰山 金剛輪寺
天平13年(741年)聖武天皇と行基菩薩により開山。本堂は鎌倉時代の代表的な和様建造物として国宝に指定。
本堂周辺や庭園内の紅葉は「血染めのもみじ」と呼ばれるほど深紅に染まる。
龍應山 西明寺
承和元年(834年)、三修上人が仁明天皇の勅願により開創。本堂は鎌倉時代の代表的建造物で国宝第一号に指定。天然記念物である「西明寺不断桜」と境内の1000本紅葉とのコントラストも見もの。
釈迦山 百濟寺
推古14年(606年)、聖徳太子が百済人のために創建された近江最古級寺院。天正元年に織田信長の焼き討ちに遭った。一方、信長による安土城大手通の石垣参道構築にあたっては百済寺の石垣参道を参考に築いたとされる。