広島県は東に位置する「西条」。
駅を降りるとすぐ、それぞれの酒銘を背負った赤レンガの煙突が立ち並ぶ酒蔵の街並みが広がります。ナマコ壁に赤瓦の屋根と、特徴的な街並みは今も実際に酒造りが現在進行形で行われており、これらの酒造施設群は、2017年に日本イコモス国内委員会理事会で「日本の20世紀遺産20選」にも選定されています。
さて、広島イコール温暖な地と思いきや、ここ西条は海側で無く高地にあって冬は氷点下をぐっと下回ると言う土壌で、賀茂山系の伏流水に、良質な米が作られ、酒造りに最適な気候も相まり、兵庫の灘、京都の伏見に並ぶ日本三大銘醸地の一つに数えられるのだそうです。
いよいよ酒造りの季節という事で、やって来たのは西条に8つ(エリアには7つ)あるという蔵元の中のひとつ。
某蔵元の蔵開きにて、居並ぶ蔵人さんらを前に、一番のご挨拶に立たれた社長のお言葉にとても惹かれました。
「まず最初にお詫びから始めることになりますが」との前置きに続き、昨年度は皆さんに本当に美味しい酒を作って頂いたのですが、我々の営業努力が足りず、前年度比の売り上げに届かなかった。。。という旨を、一同に向かってお詫びされたのです。
凄いなあ。。。と、ただただ感嘆しました。ものづくりに携わる方を大事にし、また、我が身をもって責任の所在を明らかにして真っ先に詫びる。感謝する。褒める。
自社の根幹である商品とは何か。それを作られる方が自社にとってどれだけ貴重な存在か。
これらが結果、売り上げにつながらなかった時、自分以外の責任として高圧的に部下を責めて萎縮させるのがありがちな昨今。
そんな中、ひとまず詫びて、皆を鼓舞する姿は美しいと心から思いました。
また絶対、今季も美味しいお酒が作られるでしょう。そしてその社風はきっと、お客様の元へと届くでしょう。
こんなこぼれ話的な秘話を書いていいものかどうか迷いましたが、とても美しく、そして参考になる素晴らしい光景でしたので、お名前は伏せて備忘録として書き記しました。
今回もとても良いお話に触れられた旅でした。
追伸。
今回は美味しいお酒をたっぷり、水代わりに使う蔵人賄い鍋(凄うま!)と、お約束のお好み焼きを食しました。
オタフクソースのノベルティだらけで、とても羨ましかったです(笑)。どこかで売ってないかなあ。。。