いよいよ三が日も、終わりますね。。。
年末からお正月にかけての思い出は、人様々にあるでしょう。
うちの場合は子供の頃、山ほど問題あり家族だったけど、どうもこの時期には家長が(半ば強引に)全ての帳尻を合わせようとしてたからか、振り返ると本当に、苦いことも含めてぎゅーっとなる思い出しか残ってないです。
まあしかし、振り返ればふっと顔がほころぶようになるなんて、時間の経過というのは、実は優しい面もあるんだなぁと、つくづく思います。
そんなこんなで大人になって、兄らともなんとなく距離が遠くなったり、親がこの世に居なくなったりしても、あれこれ思い出しながら、ほぼ修行というか祈るような気持ちと、刷り込みからの逃れられなさで、お正月だけはちゃんと迎えねば、と、ついつい必死になってしまいます。
大晦日の夜。全ての準備がほぼ間に合って、年越しそばの出汁も味が決まって、東福寺の除夜の鐘が鳴り出すと、個人的に最も京都らしいと思える、静かで暗くて冷たい夜。玄関を出てみて、ああこの一年もなんとか無事だったと思うんです。
それから、お正月にはうちの庭の斜め裏側に東福寺の塔頭で、いい感じで木々に囲まれた小さな墓地があるんですが、早速に、誰かご家族のお墓まいりでしょうね、子供達なんかの声が楽しげに聞こえてくると、それぞれのお正月に遠く触れながら、それも幸せと気持ちの余裕が芽生えてきます。
三が日のいずれかの日には、ここのところ自分で勝手に恒例にしてるお家に、これも強引におすそ分けしてるお節を携えて、コーヒーとお菓子をよばれに行きます。
そこでドイツ人のお友達にお正月の家族の思い出話をすると、「なんてスイートな思い出なんだ」と、毎度感情いっぱい、お腹の底から言ってくれます。それから、彼らの家族の思い出話なんかもいっぱい聞くんです。
もっとも、私の場合、お正月の思い出なんて豪華とか美しいとかってものとはかけ離れた、ささやかで他愛もない、一家族の小さい話なのですが。それでも。
「それは自分にとってはクリスマスの思い出と一緒だよ。今はもう家族も無いし祖国も遠くて、クリスマスの頃になると、とても気持ちがナーバスになるんだ」。
互いに、あふれんばかりの思い出の替わりを埋められる存在にはなれなかったとしても、毎回、ホロリとしたりして、こんな気持ちを共有、共感し合える友達も居る。ああ、良かったと心から思うんです。
お正月は、呑んで午睡してまた呑んで。。。と、まるで酒宴の席の酒豪・鹿児島県人のような、私の中の片側DNAが存分に発揮されましたが、そんな中で珍しく、いや、多分記憶の限りでは初めての夢を見ました。初夢、と言うやつです。
舞台設定は現実じゃありませんが、一体どこの引き出しから引っ張り出してきたのか、登場人物はとてもリアルでした。
昔、自分の中の窮屈な正義感から疎遠になった親友です。
久しぶりやねと言う挨拶もそこそこ、私はグイッと、友達の腕を引っ張って抱き寄せました。夢を俯瞰で見ている私自身、そんなの今までやった事も無いのでびっくりしました。
「もう怒ってへんしな」と言う私は相変わらずの上から目線でしたが、友達はなんだか申し訳無さそうな、照れ隠しのような、戸惑った表情をしていて、それがまた実にリアルで、本当に腕の中に居てるみたいでとても幸せだったです。
しかしこうして文字におこしてみると、夢の話というのはベタ中のベタですね。でも、すごい嬉しかった。
最初、自由には選べないまでも生まれて与えられた社会の縮小版というのが「家族」。そこからやがて、それなりに好んだ歩み方を選択したつもりでも、思わず形が変わったり、世に出るとまた人とのつながりや関わりによって、増えたり減ったりと変化したりする。それは不思議を通り越して、時には一人では到底乗り越えられないくらい、過酷な時もある。
あの初夢に意味があるなら、もうちょっと変化にも寛容に順応し、大事な人と仲良く、そして許し、許されあって理解を深めて失わず、少しづつ少しづつ、また大事な人を増やしていきたいです。
これって、年齢を重ねるとなかなかチャレンジングな事ですね。。。
2020年。
明けまして、おめでとうございます。
と、言うことで気分を変えてお正月の、写真雑記。
2020年のお節。テーマは「より一層の酒のアテ」。
今回は子供ちゃんづれも来客に無いので、大人対応です。
一の重
・芋を厳選して乳成分をちょっと加え、砂糖は黒糖と蜂蜜にすると旨味が深くなるだとよく分かった「栗きんとん」
・素揚げしてからきんぴらにした「蓮根のきんぴら」
・従来の味付けにマヨネーズとチーズを隠し味にした「松風」
・刻んだ野菜、出汁、水切り豆腐と3段階に半熟炒りした卵をオーブンで焼き上げる「ぎせい豆腐」
・柚子の絞り汁をぎゅっと甘酢に加えた「紅白なます」
・今後もうちょっと味付けに改良を加えたい、課題の「数の子」
・出汁で仕上げてつけ置きしたタッパに鰹節を更に加えて染みさせた「竹の子の含め煮」
・ミックスナッツとドライフルーツと乾煎りしたごまめを、白ワインに黒糖、バターでカラメリゼした「田作り」
・永久殿堂入り。土井勝レシピに完全に従って、豆を良いのを手に入れるだけ。あとはほぼほぼストーブが調理してくれる「黒豆」
二の重
・和風出汁で漬けた牛塊を、焼き上げた肉汁をベースに赤ワインとバター、バルサミコ酢、デミグラちょっとのソースで最終頂く「ローストビーフ」
・さっと塩ゆでしてから出汁でさっと炊いて、あとは味が漬かるのを待つ「海老の香り漬け」
・卵黄と出汁のタレで焼いて、あおさ海苔の風味で「イカの黄金焼き」
・たっぷりの生姜が効いてる「牡蠣のしぐれ煮」
・菊菜のお浸しを巻いた「鳥の八幡巻き」
・八角が隠し味の「豚の中華風チャーシュー」
・柚子の絞り汁をぎゅっと効かせた「鰤の照り焼き」
・今まではスモークサーモンだったのを、生ハムに変えた。千枚漬けと生ハムの「重ねなます」
日本酒、焼酎、赤白ワイン、ウィスキーのそれぞれに、柔軟対応。酒のつまみオールスター。
お雑煮は白味噌。
近頃のお気に入りは滋賀県大津の「九重味噌」さんのだったが、ちょっと買いそびれたので地元定番、京都の「石野」さんので。
お餅は灯台下暗し。普段おやつ使いの近所の和菓子屋さんのが、実はとってもびっくり美味しかった。
具は子供の頃から一緒でシンプルに、大根と人参と、鰹節をぱらり。生麩はこれも近所の半兵衛麩さんのを。
神棚と、飲み始めに。感謝を込めて。
昨年秋に仕事先で頂いた、越後のお福酒造さんの大吟醸原酒を。
酒袋から自然な加圧で滴り流れる原酒を斗瓶にとって瓶詰めした極・限定酒で、どこまでも自然ながら、豊かな香り、原酒ならではの芳醇な味わい。
普段、純米酒ばかりなのでこんなに良いお酒は戸惑う。ので、チャンネルを慌ててお正月設定に変える。
今回新たに出会いがあって手に入れた、輪島塗のお重。
何より蓋の程よい重みと全体の厚み、塗りの上質さ、シンプルながら個性的でもある沈金の絵柄、レイアウトが素敵だと思って。
一緒に食べる人の人数が増えたりしたら、今までのには定番のおせちを、これにはちょっと変わりダネのおせちを詰めて。とか。。。
またいつか、騒がしくも楽しいお正月会が、出来たらいいな。
そう思って、気長にお節修行を重ねたいと思ってます。
鹿児島の叔父さんらの前で焼酎をロックなんかで呑むと「体潰すよ」と言われる。それでもグイグイ飲んでへべれけになると、ほら見たことかと笑われる。ちなみに叔父さんらはだいたい、水かお湯かで割って呑む。これを毎晩醜態晒さずサラサラと飲み続ける。それは美しいので見習いたい。
さて。冬場はいつもストーブで番茶を煮出しており、お湯を沸かすのが面倒だったからこの番茶で芋焼酎を割ると今更びっくり悶絶美味い!
一保堂の最安値茶葉にして、全国どこの番茶より一番美味いと誇れる、そしてふと、気の利いた食堂や料理屋、飲み屋で出されたお茶を飲むと絶対に一保堂のだと分かる、というか京都の子供はこの番茶で育ったと言っても過言じゃない?番茶。
もう、いっそ茶葉を袋に入れてずっとスーハーしてたいくらい(笑)、あの茶色い茶袋を抱き枕にしたいくらい(笑)、香りが良くて風味も良い。
この、煮出したての番茶のホカホカのやつを、芋で割る。
おツレが会社の年末ビンゴ大会で貰ってきた、宮崎の蔵元・黒木本店さんの「球」。これもまた美味しい。
昨今の芋焼酎は昔と違って雑味も無くてどれも芳しい香りだけど、番茶割だったら昔のあの、強烈に芋芋しい芋焼酎でも、爽やかで飲みやすくなるだろうなぁ。
年末29日に買い出し、30、31日とひたすら台所でひたすら作業だったが、結局のところ一番簡単で、一番びっくり美味しかったのがドライフルーツとミックスナッツの「田作り」。
フライパンに黒糖と白ワイン(水でも良い)でキャラメルを作ってそこにジュッとバターを足して伸ばし、急いでナッツやドライフルーツ、炒ったごまめを加えて絡めるだけ。ごまめの苦味とフルーツの甘み、ナッツの食感がキャラメル風味で渾然一体。もう、これからの田作りはこれにする。あの、最後だいたい余る定番田作りは作らない(笑)。
さて、今回初めて、リカーマウンテン(滋賀県発祥の酒販会社。近畿、中部に多いが、昨今夜の繁華街では全国展開のお店)さんで、年始じゃなく年末から売られる福袋(と書かれた福箱)を購入してみた。リカマンさんのyoutubeチャンネルでその詳細が告知されてて、これも今更、ワイン、ウィスキー、焼酎、日本酒と、種類別にしっかり分かれて売られてる事を知った。ちなみに今回買ったウィスキーの福袋は、どの箱もブレンデットじゃなくモルトウィスキーが5000円福袋で(何が入ってるかはブラインド)3本も!入ってると知った。これは絶対買い!
中吉袋でも約一万円分相当だもの。
写真はその中の一本でキングスバリー・ザ・セレクション。熟成年は若いけど、香りも味わいも素晴らしくて、割って飲むのは勿体無い。
田作りをお供に。
と、ここまで。
最後に。
おおよそ年末年始はおセンチに取り憑かれて、猪突猛進状態になってしまう自分のような人間を、またやってらあ、と、のんびり見守ってくれる周囲には心より感謝しております。
普段絶妙の距離を取って、家の中で目視出来ない縄張りを形成している猫らも、元旦は寄り添って、こちらを微笑ませてくれる。