叔父の四十九日へ。
京都は紫野にある「花・谷中」さんでお供えのお花を注文した。
まだカメラマンのアシスタント時代に撮影用の花を買うのによくお世話になった、町家の土間に和花を挿した木桶が並ぶお花屋さん。もう25年以上も前の事でご無沙汰していたが、ここでその昔買った額紫陽花は庭で健在、毎年花を咲かせてくれては谷中さんの事を思い出していた。
あれから随分時間も経ったけれど、京都にあって和花メインのお花屋さんと言うと、いまだ案外数少ない。その中でも野の花のような、あたかも摘んできたような心優しいアレンジをしてもらえるお花屋さんと言うと、ここしか私は思い浮かばない。
足が悪くなった晩年の叔父は、それまで叔母と共に毎日散歩を日課としてたが出歩けなくなったので、叔母は毎日散歩で野の花を摘んでは家に持ち帰って飲み物の容器に挿して、それを叔父は写真に撮る事を日課にしていたと言う。これもまた写真散歩だなあ、良い話だなあと思って生前聞いていた。
このお話を谷中さんにお伝えして、花籠にアレンジしてもらった。こんな話、汲んで下さるのも谷中さんならでは、だと思う。
まだ叔父さんの気配だらけのお家は温かくて、お供えすると、みるみる薄いピンクの椿は蕾を膨らませてくれた。