もう4月。
3月終わり、今期最後の灯油配達のお兄さんが届けてくれた灯油がまだ使い切っても無いのにいきなり初夏のような陽気だ。これからしばし、かの国の石油供給が揺らいでいるというのに贅沢消費をすることになりそう。
灯油と共に添えられた置き手紙の届け人はジェームス・ブラウンだった。そりゃあ熱い。
京都もあちこちで、春の便りが届く。
私もあちこちと、虫のように飛んで花を撮る。たくさん撮って、最後は染井吉野が花や新芽や花筏になって、まるで食べ散らかしたケーキ皿のような装いになった街を見渡し、ああそうだと我が家の小さな庭の新芽たちの剪定をして息をつく。
しかし桜って、いわゆる名所の桜も良いけど、ふとした街の雑踏の中、路地の先の一本、団地周り、いかめしい工場なんかの脇でさえ、華やぎを添えて美しく思うのだから改めて凄いもんだなと思う。
もうそろそろ、あっちもこっちも観るのはやめて、私の桜と決めて最もお気に入りの場所を見定めるのもいいかもしれない。じっくり見て、何をどう心動かされているのか、見る人に伝わる写真が撮れるようにならなければいけないと反省する。
春はお調子に乗る。足元に油断する。そうして春はおしゃべりをするだけして、瞬く間に向こうのほうへ駆け抜けてゆく。
庭であれこれ咲き出した花たちを見て悦に浸っていたら、早速ブトに噛まれてしまった。今、歩くのに難儀する程めちゃくちゃに腫れ上がっている。また、やってしまったなと冷やしながら猛省する。もうこんな季節がやって来たんだなと。