夕暮れ。多くの参拝客もようやく途切れた、近く東山の瀧尾神社まで。龍を拝みに。
背は鯉の鱗の様に、腹は大蛇の様に、頭は駱駝の様にと彫り込まれた霊獣・龍。雲間に光る龍玉「如意宝珠」を取り巻き、掴まんと機を見据えている。
拝殿の天井に浮かぶ全長8メートルの木彫龍は江戸後期・九山新太郎/作。禁門の変より火災にて消失し、近年復活した祇園祭・大船鉾の船首にあった龍の作者でもある。よって大船鉾修復の際には見本としてこちらの龍の首部分が貸し出されていた。
瀧尾神社は、呉服商を営んでいた現在の大丸百貨店の基礎を築いた下村彦右衛門が欠かさず参拝し、商売の繁栄を遂げたご利益のあることで知られており、近く伏見人形の「福助」のモデルは、彦右衛門とされており、今尚全国の商家に飾られているのをよく見かける。
いかなる願いも叶える龍の珠は、病気を治したり、災いを避けたりする事も出来る。
七つもドラゴンボールは揃わなくとも、たったひとつ。どうぞ御無事をお与え下さい。