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街中キャンパスの堂々。

 

 先週月曜日のこと。

 東京は田駅エリアが仕事の現場。ということでせっかくなので待ち合わせ時間より早くに着いて、近くにある慶應義塾大学三田キャンパスを初めて訪れてみた。

 なんだかんだで高低差のある東京において、三田キャンパスは都会の真ん中の更に小高い丘の上に広がっている。すぐそばに東京タワーがあって、港区という都会中の都会に立地しているので、小一時間もあればしっかり見学出来るくらい、面積はそんなに大きく無い。

 が、狭いながらも古い歴史ある建物からつい近年に建ったもの、並木道、公園、カフェテリアなど、これぞ大学と言わんばかりのアイコンが本当に上手く敷地内に詰め込まれており、さりとて風通しも良く、圧迫感も無し、といった上等感漂う印象だ。

 

 1858年。福沢諭吉により、藩命を持って江戸築地鉄砲洲に蘭学塾が開かれた事を始まりとする慶應義塾大学。1871年に元は島原藩の中屋敷があった場所に移転した現三田キャンパスには、全面なまこ壁が今や周り回ってモダンな「三田演説館」(1875年竣工。重要文化財)、関東大震災や東京大空襲と2度の大きな災害を経験しながらも立派に存在する煉瓦造りの「図書館旧館」(1912年竣工。重要文化財)、1937年竣工の第一校舎や1926年竣工の塾監局などが、現代の建物とでミックスされている。また、イサム・ノグチの彫刻作品や(中はしまっていて紗のカーテンと窓越しに僅かに見られた)三田キャンパス戦後復興に尽力した建築家・谷口吉郎とノグチの協働による談話室など、大学が歩んだ歴史がキャンパスで辿れる。

 

 駅周辺の飲食店やビジネス街から、ちょっと丘を登っただけで切り替わるこの空気感。春休み中だったので大学生もほんのちらほらと出会うだけだったけど、大学の歴史の成り立ちを、本物のどっしりとした建物などで体感しながら、これから春を迎える若者らの前向きな笑顔や跳ねるような活力があいまったなら、さぞかし良いもんだろうなあと心底思った。

 

慶應義塾図書館旧館

イサム・ノグチ関連

キャンパス散歩

谷口菜穂子写真事務所
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