お盆休みスタートの8月11日。子供写真教室ロケーション写真バージョンを、丹波市青垣町佐治で開催しました。
江戸時代の宿場町の面影を色濃く残す「佐治」は、かつての賑わいを取り戻すべく、地域の皆さんで手作りなイベントの取り組みなどをあれこれ行なっておられる一方、もれなく全国共通課題である過疎・少子高齢化・地域経済の縮小化が著しいエリア。そんな中、かつのて大きなお屋敷に響いたであろう子供たちの元気な姿が出たり入ったり。講師側の立場なのでほとんど写真は撮れずに喋りっぱなしでしたが(苦笑)、めちゃくちゃいい景色が見れて本当に幸せな時間でした。
とその前に。
コラボ企画による、お隣の氷上町にて、児童書を中心としたブックカフェ「mamimumemo book book」さんのカレーやクラフトコーラなどを囲んでの大人向け写真談義を行ったんですが、殆どは参加児童の保護者の方々ということでもれなく子供らも参加。
まあ、子供ら的にはよく分からんかも、広いお屋敷、どっかで食べて遊んでくれてたらいいか、と思いながら、一枚の写真にまつわる三者の視点(撮る人=被写体を見る人、見られる人=被写体、その写真を見る人=傍観者)を紐解きながら、写真というものは動画よりも更に過去性が強い、「つまり写真は切り取った瞬間から過去になる」こと、残すことの大切さを今一度、誰でも簡単に写真が撮れる時代(メモがわりの写真)になったからこそより強く、写真というものの普遍性を心で思いながら写真を撮って欲しいというアツいメッセージを大人に向けて語ってみました。
カレーを食しながら、こうした三者の視点がより如実である、決して後戻り出来ない上に、一世一代大事な存在かつ普段おざなりになってしまいがちな「遺影」写真という究極の存在や、自然災害などで被災された皆さんが、テレビ取材で口々に語られる「家族のアルバムもみんな失ってしまった」と仰る、せめても大切な記録や思い出の側面を担う可視化された「写真」というものの存在の話と、かなり突っ込んだ話をしてみたんですが。。。
小学校1年の男の子がぽつり、「写真は過去になるって話になるほどなと思った」と感想を言われて、おお、響いてる(泣)!!!と、胸が熱くなりました。
写真というものを通して、どんなに普段見慣れたものでも、目の前にあるものを有機的に捉えて、人に伝えることの喜びや重要性を、これからも感じてもらえたら嬉しいです。
その後の子供写真教室では、写真誕生約200年の歴史を、主に創世記の写真に触れながらレクチャーしたり、佐治の歴史を地域の建造物を保存改修に尽力されてる建築家の方にお伝えしてもらったりして、みんなで自由に佐治の街を撮ってもらい、プリントし、みんなで投票&講評。
それぞれ組写真にしてもらったんですが、まーびっくり。それぞれの作風や視点をしっかりそれぞれにまとめた組写真に仕上げてくれて、「全員すごい。どれもすごいからどれかって選べない」と子供たちも互いに悩ましいほどの力作揃いでした!!!「写真を撮ることも大事だけど、写真を見て、読み取ってまた相手に伝えることも大事だよ。」ということで、それぞれ感想を捻り出してくれました。
(カメラの歴史の始まりは、絵画のトレース機材であったこと。1827年に世界で初めて撮れた写真は数十時間もかかったこと、1839年以前に亡くなった人は、自分の顔写真もなくて、超お金持ちしか肖像画すら無かったことなどを説明したり、の図)
同じ被写体でも、それぞれの捉え方でこんなにも見え方が違って、それぞれに良い、そしてこうした写真が、数年後、数十年後に思わず貴重な未来への語り部になってくれるということも、心の片隅に残ってくれたら良いなぁ。
そして、子供たちの視点によって掘り起こされる地域の魅力が、遠い誰かに伝わったら良いなぁ。
そんなあれこれを思い浮かべながら、次回の企画の構想を妄想しながら、帰路につきました。
最後に。
今回も企画の実現に尽力してくれたmamimumemo book bookさん、そしてご参加、ご協力くださった大人も子供も皆々様に、心からお礼申し上げます!ありがとうございました!!!
↑ロケーション写真における三者の視点(立場)キャンバスシート
写真プリンターの使用済みインクカートリッジのロールを引っ張り出して、遊ぶ子供たち。イエロー、マゼンタ、シアン、赤、青、緑と、色の三原色、光の三原色で君たちは遊んでいるんだよ(笑)
こども写真教室キッズフォトグラファーによる佐治写真たち。
※クリックするとそれぞれの組写真が拡大します。
おまけ。今回前泊した佐治青垣暮らし体験宿泊施設「竹岡邸」。
一応、先生なので青垣佐治を撮る、ということで、谷口も組写真を撮影してみました。テーマは「垣間見る」です。