かつて写真専門学校で教えてた子達のその後が色々面白い。
京都は「学生の街」とのイメージがあるけれど、市内にあった専門学校には、地元の子達より圧倒的によそからやって来た子たちが多かった。「どうして写真の学校選んだの、他にもあるのに京都だったの?」と尋ねると、「修学旅行で来たことがあったから(知ってて安心)」「そこまで都会じゃ無いし、親が京都なら一人暮らししても(安全そうだから)いいと言ってくれた」が、おおよその理由。あとは親が京都が好きで、子供が学生時代を過ごす間、ちょくちょく遊びに来れる、みたいな理由も聞いた。
卒業後はまた地元に戻る子もいれば、東京に出て写真関連に就職する子も居た。都会に出たきりの子、Uターン組、Jターン組、今も写真関連をやってる子、結婚して子育てに奔走してる子、雑貨屋などやってる子と、その後の生活もまちまちだけど、言っても表現の世界が好きな子達だから、生活を垣間見てもそれぞれ、個性的で自分らしさを生活に発揮している子が多い。
と、そんな中で今回は、同じ専門学校卒業生同士で結婚してUターン、旦那の方の実家、丹波で暮らす夫婦のところにお泊まりさせてもらい、近年増えつつある、20代から30代が中心で商売を切り盛りしてる素敵な田舎暮らし体験&お店にあれこれ連れてもらった。
かつては授業の担当が京都の面白ロケ巡りだった私としては、今や彼らに面白探しロケの手引きをしてもらうというのは実に感慨深いし頼もしい。さらに言えばそんな彼らの子供達と仲良くさせてもらえるのも嬉しい。懐いてもらえたらもう、親戚気分ですらある。
地元再発見、多少の煩わしさを乗り越えて楽しさ見出して、結果みんな可愛らしく育ってるのを見ると、学生の頃無駄に彼らの将来についてあーしろ、こーしろ(とは、そう言わないようにしてたつもりでも、少なからずヤキモキはしてた)と指南してた側としては、それぞれ自分らしく、ささやかでも幸せで居てくれたらそれで良い、と言うかそれ以上に何を望む!?と思えて仕方なかった。
お土産の一つに子供向け百人一首の解説冊子を渡したら、小学校6年のおねえちゃんが食いついて読んでくれた。どうやら本が大好きらしい。「この子が小さい時、ナホさんが絵本『大きな蕪』くれたの覚えてる?それがきっかけで、本っていいんやなって思って」と言ってもらって内心泣いた。
「大きな蕪」は、日本版では挿絵を彫刻家の佐藤忠良さんが描いていて、保育園の頃に父親が私に与えてくれた絵本の一つだ。父親の絵本チョイスセンスはいつも抜群で、かつ、通っていた保育園も蔵書センスが最高に素晴らしかった。
こちらの覚えてもないようなささやかで気まぐれな言動が、どこかで繋がって、だれかの未来のちょっとした手がかりになるなら、こんなに嬉しいことは無い。そして私もこうしただれかの存在によって、支えられているのだと思う。
もう丹波では石油ストーブがつけられていてほこっと家の中は暖かかった。
私にはたくさんの、ふるさとがある。
※連れてもらった場所の備忘録
●ササヤマルシェ(どうやら今年で企画が終わるらしいのが残念過ぎる、城下町篠山の古い町並みと素晴らしくマッチした手作り市。巷で昨今流行りのマルシェの中でも抜群の出店レベルだと思う。)
●市島製パン研究所(大人気過ぎて店内飲食出来なかったので次回再度挑戦!)
https://www.facebook.com/ichijimabakery/
●Cafe genten(茅葺古民家をちゃんと文化財登録したカフェ。猫もゆるゆる)
https://www.facebook.com/cafe.genten/
●キャリー焼菓子店(マルシェでも超人気の焼菓子店が、自分たちでリノベした路面店をオープン。裏の田園を望むテラスがまた素敵)
http://kyarie-bake-house.blogspot.com
●3 ROASTERY(アメリカ人の旦那さんが、奥さんの地元で開いたコーヒーショップ。)
https://www.facebook.com/3Roastery/
●無鹿リゾート(古民家リノベ、鹿肉メインのコース料理のお店。1日1組限定のお宿も併設。最高に美味な鹿肉料理だった。次も是非行きたい!)